商談は準備で決まる。企業調査を徹底する理由
営業フェーズ別講座の「商談準備」における企業調査のお話です。ここを怠ると先々うまくいかないことが多くなります。相手を知ることの重要性をお伝えできれば思います。
営業で起こる勘違い
はじめて営業される方がやってしまう失敗として、「自社商品・サービスの押し売りによる失注」が挙げられます。
営業に配属されたらまず行うのが営業研修なるものでしょう。研修の内容は大枠こんな感じです。
- 挨拶
- 名刺交換(渡し方、もらい方)
- マナー(座る位置、タクシー、エレベーター、オフィスに入る前にコートを脱ぐなど)
- 自社の商品・サービスの理解
- メール対応
- 電話対応
基礎の基礎として必要な内容であることは間違いないです。
勉強もしっかりして、「よーし、いざ営業だ!」と意気込んでいる営業の方でやりがちなのが、覚えた自社の商品・サービスをひたすら説明するというアクションです。確かにしっかりと理解してもらうという部分は大事なポイントなので、自社の商品・サービスを細かく理解できていることは最低限必要なことです。
商談が終わって、しっかり自社の商品・サービスを伝えることができた!あとは反応を待つのみ!と思っていたら、「今回は検討させていただきましたが、見送りとさせていただきます・・・」と連絡が来る、そんなシーン。
なぜ、しっかりと伝えたのに、それがいけないのかをお話していきます。
企業調査が必要なワケ
営業でまずはじめに大事になるのは、「顧客の利益・メリット」になる可能性を感じてもらうことです。大前提、顧客が興味があるのは顧客のことです。つまり、自分(自分たち)のことにしか基本興味がありません。
その点を理解しないでひたすら自社商品・サービスの利点を語っても響きません。自社の商品・サービスが顧客のどんな課題に対してのソリューションなのか、導入するとどんなメリットがあるのかをしっかりと伝えてはじめて商談が進みます。
そのために何が必要かというと、「顧客の現状・課題・目標の把握」です。
営業が売上目標を持っているのと同じように、顧客も何かしらの目標があり活動をしています。目標と現状の差が課題です。
営業で言うと、目標売上5,000万円、現状1,000万円、GAPは4,000万円です。4,000万円の売上を作ることが課題ですね。では4,000万円の売上を作ることができる可能性がある提案だったら、聞いてみたくなりませんか?
逆に1,000万円しかつくれない提案だったら聞く価値はありそうでしょうか。顧客も同じです。顧客の課題解決になる提案が営業ではマストということになります。そのためには、目標・現状・課題をしっかり把握する必要があることは理解できるかと思います。
企業調査を怠ることは無駄な営業に時間を割いてしまうため、企業調査はマストで実施しましょう。
企業調査の方法
企業調査にはいくつか方法があります。また、相手が上場しているかしていないかで得られる情報も変わってきます。
情報ソースのご紹介と調べる際のコツをお話します。
顧客HP
顧客のHPの情報は誰でもチェックできます。社長メッセージ、理念、方針、従業員数、資本金など会社の基本的な部分とプロダクトがあれば、どのようなものか(ターゲット、利用シーン、メリットなど)も仮説を持てます。オンライン会議の場合は顧客のHPを投影しながら話をするのも、会話が進みやすくなる技の一つです。
IR情報(上場企業)
上場企業の場合はマストでチェックです。なぜなら経営や事業の計画が公になっているからです。投資家をはじめとしたステークホルダー向けのため、特に中期経営計画は数字を含め企業の向かう先(目標)、現在のコンディション(現状)、活動方針(課題)を読み取ることができます。分からない点、気になった点は控えておき商談でヒアリングしてみるのもよいでしょう。
採用情報
意外と使えるのが採用情報です。採用をしているということは、目標に対して人的リソースが足りないという問題から発生する課題解決のアクションの一つです。つまり、どんな課題があるのかが採用情報から読み取ることができます。例えば、DXを推進できる人材(部長クラス)の募集があるとすれば、会社としてDXを推進していく方針があるが、それリードできる人材がいないもしくは足りないのでしょう。コンサル系の営業であれば、DX領域のサポートのお話など営業として持って行けるはずです。
採用情報は企業HPや大手転職サービスに登録しておけば把握できます。
事例記事
営業する業界や企業が決まっていれば、「〇〇業界 〇〇事例」「企業名 〇〇事例」などで検索してみましょう。商談相手の名前で検索するとその方の記事がある場合もあります(有名な会社の方は特に)業界によっては、競合企業などが取り組み事例として公開している場合もあります。
フレームワーク検索
分析のフレームワークを掛け合わせた検索をしてみると以外を出てきます。
PEST分析、SWOT分析、5F分析(ファイブフォース)などの分析フレームワーク×業界などで検索してみましょう。すでにまとまっている記事などに出会う可能性があります。
例えば、「PEST分析 自動車業界」などです。
有料企業調査サービス一覧
- バフェット・コード:https://www.buffett-code.com/
- 帝国データバンク:https://www.tdb.co.jp
- 企業データベースhttps://www.tsr-net.co.jp/service/database/
- SPEEDA: https://jp.ub-speeda.com
- FORCAS:https://www.forcas.com
- Musubu:https://www.musubu.in
無料お試しできるサービスもありますので、一度使ってみて良ければ継続利用なども判断可能です。
調査だけではなく、営業企業リストも販売しているサービスもあるため、アタックが無くて困っている場合も活用するとよいでしょう。リーズナブルなサービスも多くあります。
企業調査後にやるべきこと
企業調査後はいよいよヒアリングです。ヒアリングする軸や項目を企業調査の内容から考えておきましょう。
企業調査で得た情報と顧客へのヒアリング情報から課題を見極め、提案内容の方針を決めることができますね。
事前の企業調査をしているからこそヒアリングできる幅も増えていきますので、ヒアリングから深い顧客の情報を得ることができるかもしれません。
まとめ
企業調査は時間があればあるだけできてしまい終わりがみえない業務です。
ある程度この情報は抑えるといった優先順位を作り、調査することをお勧めします。HPでは〇〇、IR情報では〇〇をおさえておく。時間があれば採用情報もチェックする。などです。
同じ企業であれば各営業が調べるポイントは似てくるので、型を作り全営業に展開すれば組織としての効率化も図ることができます。また有料のサービスなども組織として契約し営業が誰でもアクセスできる状態が望ましいでしょう。
企業調査のフォーマット化を進め、営業組織として成果につながる仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。