強い営業組織を作るための顧客プロファイル
今回は長期的に自社に利益をもらたしてくれる顧客プロファイルのお話です。
アポが取れたからといって闇雲に提案していませんか?ふたを開けたら全然予算もなく、長期的なお取り組みはできない顧客だったにもかかわらずかなりの時間を費やしてしまった経験がある方は要注意です。
正しい顧客プロファイルを設定して、効率的な営業組織を作ることが重要です。そんなお話をしていきます。
顧客プロファイルとは
ターゲットとしている企業のことです。ターゲットと一言で言っても様々。
例えば、こんな項目でターゲット企業を定めていきます。
- 業界
- 上場企業
- 従業員数
- 売上規模
- 業績が前年から伸びている
- 販促予算規模
- 1回あたりの発注金額規模
- 〇〇部がある
- 全国展開している(逆に〇〇地域のみ展開している)
- 〇〇を導入している(サービスなど)
よくマーケティングの世界では、ペルソナという考え方があります。
自社にとって理想的な顧客プロファイルであり、自社の提供できる商品・サービスとの親和性が高い企業のことです。用語ではICP(Ideal Customer Profile)と言います。
なぜ顧客プロファイルが必要なのか
DXの流れで営業も属人的なものから組織的な営業へ変化しています。具体的に言うと、salesforce(セールスフォース)などの営業支援システムを導入し、マーケティングチーム、インサイドセールスチーム、フィールドセールスチーム、カスタマーサクセスチームなど役割別に部門を作り分業で組織全体の営業成果を上げていくスタイルです。
分業だからこそ、その中で顧客プロファイルというのは組織の共通認識として必要になってきます。
マーケティングチームがただただ新規のクライアントを集めてくるというだけの機能・役割になってしまうと、自社のソリューションでは課題を解決できない顧客であったり、エンタープライズ(大手企業)向けのサービス・金額設定なのに中小企業や予算を持っていない企業との商談が増え、顧客・自社、お互いに効率の悪い仕事になってしまいます。つまり無駄な時間です。
どんな顧客にサービス・商品を使ってもらいたいかを明確にしておくことで、このようなミスマッチを防ぎ、営業の効率化を図ることができます。
ターゲット顧客が明確であれば、アプローチ企業の優先順位をつけることができます。ターゲット顧客が普段接しているメディアやセミナーに顔を出したり、営業アクションも明確になります。
顧客プロファイルの作り方
顧客プロファイルを作るうえでのポイント別にお話していきます。
一人で行うよりも、チームもしくは部門などで数名で作りあげることをお勧めします。
前提としてマーケティングチームが顧客プロファイルを定めるリーダー的部門です。マーケティングチームが率先して会社を動かす働きをすると組織としてうまく稼働しますので、会社に営業マーケティングチームがある場合はそこが担うことをお勧めします。
観点①自社にとっての優良顧客
顧客プロファイルを作る際に必ず入れておきたい観点は、「自社にとっての優良顧客」であるということです。
自社にとっての優良顧客を定義する上で必要なのが、自社のサービス・商品・ソリューションの深堀りになります。自社サービスがどのような顧客の課題を解決できるものかを明らかにします。
そんなの分かっている!という方も顧客プロファイルを作る際には改めて整理してみると良いでしょう。再認識やもしかすると新たな発見があるかもしれません。ほかメンバーと整理してみると実は認識がバラバラだった、なんてこともあり得ます。
観点②既存顧客の特徴
優良顧客を考える上で役に立つのが、過去・現在の取引顧客です。自社サービスや商品を利用されて効果が高かった顧客の特徴を洗い出し、共通点を見つけていきます。
例えば、業界・部門・売上規模・拠点・顧客ビジネスモデルなどなど。こんな企業とは相性がいい。だから同じような特徴を持つ企業も相性がいい=導入効果があり、喜んでもらえる可能性が高い、といったストーリーです。
作ったあとの組織と営業
顧客プロファイルを作成しただけでは意味がありません。営業の効率化を図るためにアクションをしていきましょう。必要なアクションはこのようなものがあります。
【組織全体】
共通認識を持つ
顧客プロファイルの共有
組織を横断して顧客プロファイルを作っていく方法もあれば、マーケティングチームが作った顧客プロファイルをインサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスチームにシェアしてアップデートしていく方法もあります。
ここで重要なのは顧客プロファイルの共通認識を持つということです。各チームが納得のいく顧客像をディスカッションしながら作っていきましょう。
【マーケティング部門】
優良顧客を捕まえてくる
ウェビナー、講演会、広告配信、過去取引企業(優良顧客)へのインタビュー記事作成、メルマガ
マーケティングチームはやることいっぱいです。優先順位を付けてアクションしていきましょう。自社HPがある場合はHPへの集客、集客後に興味をもってもらうためのコンテンツ、リード獲得するための仕掛け(問い合わせや資料ダウンロードなど)作りなどなど。これらはターゲットを意識しているかいないかで大きく変わってきます。
こうした課題に対応するように外注できる企業・
【インサイドセールス部門】
優良顧客の見極め
コミュニケーション/調査/ヒアリング/案件判断
インサイドセールス部門は、言い換えれば【調査部門】です。
自社の将来的な優良顧客になるかの調査を面談を通して確認していきます。ニーズや課題、予算、スケジュールなどヒアリングを行いますが、優良顧客(=自社ソリューションを導入することで長期的に効果が出るか)になり得るかを判断し、その可能性があればフィールドセールスへ繋ぎ、まだ見込めなそうであれば、顧客とコミュニケーションは定期的に取りつつ、顧客育成をしていきます。
ここでもしつこいようですが、顧客プロファイルに合うかどうかがあれば、判断にそこまで迷うことなく対応ができ組織としても効率化できます。
【フィールドセールス部門】
優良顧客の再確認
顧客とのコミュニケーション、他部門へのフィードバック
インサイドセールスから受け取った顧客に対して提案・実行をしていく部隊ですので、インサイドセールスとのコミュニケーションは欠かせません。
受け取った顧客が優良顧客になる可能性があるのかを、フィールドセールスでも顧客とのコミュニケーションを取り再度確認をした方がいいでしょう。インサイドセールス部門では優良顧客の判断があり、フィールドセールスが受け取ったとしてもフィールドセールス側としては、実は違ったということも大いに起き得ます。
その場合はインサイドセールス部門へしっかりフィードバックを行い、認識を改めて合わせていくというアクションが長期的かつ組織的な営業効率化を図るうえで必要です。
もちろん、認識通りの顧客の場合にも、フィードバックを行うことも忘れずに!
【カスタマーサクセス部門】
長期的な観点から再確認
他部門へのフィードバック
カスタマーサクセス部門のミッションは、長期的な関係を築いていくことです。
つまり、継続して顧客に対して効果を出すことミッションとなります。顧客プロファイルの共通認識に関するカスタマーサクセスの役割としては、【長期的に】という点でしょう。この点はカスタマーサクセス部門として、長期的に効果を出すことができる顧客の特徴や共通点をマーケティングチームをはじめ他の部門へのフィードバックが欠かせません。
常にアップデートを心掛ける
サービスがアップデートしたり商品を改良したり、自社のソリューションは日々改善していると思います。
それに合わせて「顧客プロファイル」も少しずつ更新していきましょう。一度時間をかけて作り上げると、更新という業務を疎かにしがちですが、ビジネスは変化が付き物です。更新も定期的に行いましょう。インサイドセールスやフィールドセールスは日々目の前の顧客に集中しているので、マーケティングチームがリードすることをお勧めします。
マーケティングチームが無い場合は、部長・課長など営業戦略を担う方々の役目です。
まとめ
以上が顧客プロファイルを作り営業組織全体の効率化を図るための役割とアクションについてのお話でした。
最後に、顧客プロファイルは1つというルールはありません。複数の顧客プロファイルを作り顧客をセグメントし、顧客別にアプローチ方法を変えるという戦略もたてることができます。複数作ることを視野にいれつつまずは1つ作ることから始めてみましょう。
現場が進めるというよりも、組織・部門の長がリードして進めていくことが必要です。組織全体に関わる部分ですので当たり前と言えば当たり前です。
現場の方は上司に相談・提案をして、上司を巻き込み動かしていくという方法もありますので、なかなかハードな部分はありますが、トライしてみてはいかがでしょうか。特に組織的な営業を作っていく会社では、優良顧客の共通認識を持つことの重要性は理解いただけたと思います。実行に移し強い営業組織にしていきましょう。