営業予算達成に必要な考え方とアクション
予算必達。営業部であれば毎日聞く言葉。
稼いでなんぼの営業ですから当たり前と言えば当たり前。ではどうすれば営業予算が達成できるのか。新人営業パーソン、そして、頑張っているつもりだけど、なかなか成果がでずに毎年営業予算未達で終わり評価してもらえない方向けに、営業予算を毎年達成している営業パーソンの基本的な考え方とアクションはどのようなものなのかご紹介していきます。
予算達成の方程式を理解する
闇雲にビルの上から下までドアノックだ!という昭和スタイルもいい面もありますが、足だけではなく頭も使った営業スタイルが毎年予算を達成させるには必要です。
計画と実行、そして現在地把握を繰り返し軌道修正のアクションを考え実行する
大枠はこの流れができれば営業予算達成の目標に届く可能性が高くなるはずです。つまり営業活動のPDCAサイクルを回せるかどうかがカギです。
まずは売上はどのような要素で構成されているかを初歩中の初歩ですが改めて理解してみましょう。
下の図が売上の方程式です。小学校で習うレベルですので理解できると思います。
シンプルですね。さらに因数分解していくことで、何をすべきかがみえてきます。
因数分解したのが下の図です。
量と質(率)を意識しておくことが大事になってきます。
契約までの量的な要素は以下の4つです。
①リード数
②アポ数
③提案数
④契約数
①から④へと流れていきますので、④の契約までの量がどれくらい増やすことができるかで売上合計金額は変わってきます。
つまり、それぞれのフェーズでいかに次に進めることができるかが【質(率)】です。
リード数が100件として、アポ率が仮に10%とします。初回面談後に提案ができる率を80%、契約に至った率を50%とすると以下になります。
①リード数:100件
②アポ数:10件
③提案数:8件
④契約数:4件
質(率)が一定の場合、リード数を倍の200件に増やせば、契約数も倍の8件です。当たり前ですが、この理解は営業する上で重要になります。
なぜ重要かと言うと、売上予算には制限時間があるからです。
通常の企業で言えば1年という制限時間の中でいかに売上予算を達成するかという言わばゲームが営業です。やみくもに営業するのではなく、営業フェーズと進む率を把握しておくことで、現時点であとどれくらいのアクションが必要になるのかを把握できます。アクション内容が明確化されることで予算達成というゴールに向かって計画的に進めるようになります。
売上計上までのタイムラインを理解する
量と質的な部分を理解することで、計画的に営業活動ができるようになると解説しましたが、次に理解しておくべきことがあります。それは、計上までのスケジュールです
営業の成績は、多くの企業が本年度中に計上された金額をベースに予算に対して達成したのかを計算します。つまり、本年度に契約合意に至ったが、計上が来年度となると、それは来年度の成績になってしまいます。そうならないように、いつまでに契約すれば、本年度の売上計上に間に合うのかを把握しておきましょう。これは企業によって様々ですが、納品できるタイミングが契約からどれくらいになるかによって決まってきます。
既存の製品を納品する場合は、おそらくそこまで長い期間にはならないはずですが、オーダーメイド製品や広告系の商品・サービスを販売している企業だと、長期化するケースがあります。
うっかり来期計上にならないようにスケジュール管理することも営業の仕事です。
企業の決裁権限の構造を理解する
【量】の部分には、アポ取得数などに加えて、重要なのが、【単価】です。1契約あたりの単価量をいかに大きくすることができるかでアクション計画も変わってきます。単価を上げるためには、企業の決裁権限の構造を理解しておく必要があります。
役職が上になればなるほど決裁金額も大きくなります。これはなぜかというと、その分上になればなるほど見ている範囲が広く、課題が大きいからです。課題を解決した時の会社に与えるインパクト(利益など)が大きいため、その分決裁金額も大きくなっているという構造です。
自分の会社でも同じことが言えると思います。営業の会社でもざっとイメージですが、以下のように役職によって使える・決裁できる幅は変わってきますね。
- 一般社員が使えるお金:手土産・・・良い印象を与える
- 課長が使えるお金:接待費・・・相手と懇意になる
- 部長以上が使えるお金:営業システム導入費・・・営業組織の効率化
つまるところ、大きな金額を狙うには、役職の高い決裁者に合うことが近道となってきます。
とは言え、決裁者に会えればそれでいいのかというと、さらに契約の確度を上げるためには決裁プロセスなども把握しておくとよいでしょう。詳しくは以下の記事で解説しています。
決裁者に会うことをタスクに入れる
役職者に会うことをまずは目先の目標としていきましょう。
そのために必要なのは、アタックリストです。アタックリストは役職者で構成されるべきものです。人脈や外部サービス(営業マッチングサービスなど)を活用していくもよし、もし営業組織にマーケティング部門があれば、役職者向けのセミナーを開催したりと、リードをとるところから始めましょう。
役職者でない方に営業をするとどうなるかも、一応説明しておきます。
やるべきではないという話ではなく、効率が悪くなるという話です。決裁権限が無いが、現場で課題がある場合、その課題にマッチした商品やサービスであれば商談など話は進む可能性はありますが、最終決定をする役職者でNGを受け、契約に至らずという可能性を大いに秘めております。
もちろん、現場から決裁者の抱える悩みや課題などの情報をヒアリングして、それにミートした提案をすることで契約を結べることももちろんありますが、商談から契約までの率が落ちます。決裁者に会えて話ができていれば、時間も効率的に活用でき、さらに大きな金額が見込めるため、はじめから決裁者に会うことを意識しておく方が合理的です。
現場の方から上にあげていただき取り組みを開始することも、もちろんあります。
この時に気を付けたいのは、最後の最後まで決裁者に会わずにいるということです。現場の方から上申するから大丈夫などという場合は、最終的にハンコを押してもらうギリギリまで気を抜けません。
いけるだろうと思っていたのになかなか最終判断が下りない、状況が怪しくなってくる、連絡が担当者とつかない、など全然あります。現場担当者レベルではいけると思っていたが、決裁者にあげたところ別の課題や優先順位の問題で実施の判断が難しい状況だったなどありがちな話です。
早めに決裁者と会話する機会をもらえるように現場担当者には依頼をするのが営業成果を上げるうえで大切なアクションポイントです。言い方やタイミングはもちろんありますので丁寧に理由もセットで伝えるようにしましょう。
理由は以下の例のようにご担当の方にメリットがあることを伝えるとよいでしょう。
- 決裁者の不安や課題も伺ったうえでご提案内容をチューニングしておいた方が現場担当者様にもメリットがあるため
- 事前に弊社から情報を入れさせていただいた方が上申の際に〇〇様がスムーズに進められるため
まとめ
ここまでの解説は、「マーケティング的な考え方」をベースにしています。
効率よく、少ない時間で最大の売上を作るにはどうしたらよいのか、それはマーケティング活動の考え方とも似ています。
例えばアタックリストも、STP分析というマーケティングに使われるフレームワークのうち、Tの部分です。トップセールス人材にはこうした考え方ができている人が多くいます。というか殆どです。予算が毎年未達で終わってしまう営業の方は、まずはこの考え方を理解するところからはじめましょう。
S:セグメンテーション=細分化
T:ターゲティング=狙う市場や人
P:ポジションニング=自社や商品の立ち位置